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衛生対策
学校の説明では、あくまで標準服とのことで、着用を義務づける
ものではないとされているようですが、現実にはこれまで全員が「制服」を購入・着用してきたという経緯があるようですので、新しい制服についても、はたして購入・着用は任意といえるのか、疑問なしとしないでしょう(なお、セーターやベストなどについてはあえて「任意」購入品とされている点からも、それ以外の制服はやはり義務ではないのかという疑念がわきます。)。
2 この問題については、少なくとも公立学校においては、学区制が存在し、基本的には子どもたちに通うべき公立学校は選ぶ権利はありませんので、私立学校に進学しない限りは直接家庭の負担となるという意味で、あまりに配慮に欠けるものと思います(なお、私立学校であればどのような制服を導入しようと許されるというつもりも毛頭ありません。)。
子どもの貧困(相対的貧困)とか教育格差という言葉はもう随分前から耳にしますし、新聞紙上で報じられたり、様々な書籍も刊行されていることからすれば、導入に際して問題意識はなかったのか、議論はなされなかったのかといろいろと疑問が拭えません。
もっとも、制服を導入している学校については、実は制服は、それ自体かなり高額ではないかという印象も常々持っていますので、今回報じられている学校に限った問題ではないかもしれません。
いずれにしても、制服のみならず、進学に際してどの程度の経済的負担を生じるのか、問題を整理して子育て支援全般を考える必要があると思います。
3 ただ、その前に、そもそも制服は必要なのかという議論も、ゼロベースでしてもいいのではないでしょうか。なぜなら、制服という単一の服装の着用を義務づけることが子どもたちの自己決定権と抵触・衝突することは確かだからです。
ですから、制服を採用あるいは維持するにしても、その必要性や合理性について(経済性とか子どもの安全とかいろいろ理由はあるでしょうが、所与の前提とすることなく)、一つ一つ、一応検証してみてもいいのではないでしょうか。
4 さらにもう一点、きちんと議論し、改善すべき点があると思います。
仮に制服を採用・維持するのだとしても、男子女子という性別だけで画一的に特定のデザインの制服を強要することは重大な人権侵害であるとともに、セクハラではないかとも思うのです。このことは、このブログでも、「vol.1 性同一性障害~制服を考える」、「No. 43 ~両性の本質的平等(憲法14条、24条)と多様性と個人」などでお話ししてきたところです(なお、男女別の制服強制がセクハラに当たるとの考えはあまり聞いたことがないかもしれませんが、見た目の性別とは異なる性自認を有する人に対して、男らしい服(あるいは女らしい服)を着ろとか、男子(女子)更衣室を着用しろとか、上半身は裸でプールに入れなどということは、その人にとっては重大なセクハラ以外の何物でもないということは当然あり得るのではないでしょうか。)。
5 本件の銀座の小学校の制服問題と同じ時期に報道されたところでは、千葉県柏市の公立中学校で、男女を問わず選択可能な制服が新たに採用されたということを知りました。具体的には、上着は男女ともに同じデザインのブレザーとして、スカート、ズボン、ネクタイ、リボンは男女を問わず、生徒が選択可能にしたというものです。
同じ時期に知ったのは、大阪大学が「性的指向・性自認の多様性に関する基本方針を策定し、性別を問わずに利用できるトイレサイン(看板ないしマーク)を作成したというものでした。
既に様々なところで、性的指向・性自認の多様性を前提として、それを当たり前のこととして受け入れるための取り組みが始まっています。
周囲とは異なる性的指向や性自認を有する人に対して、社会が我慢やカミングアウトを強制するのではなく、自らの考えで、それを周囲に知ってもらおうと考えることも、あえて告白することなく、自分らしく生活することも、どちらも可能である社会の実現は近づいています。
今後さらに、学校や公共施設のトイレや更衣室などの問題から、取り組みが進むことを期待します。 (2018.2.14)