破産とは、さまざまな理由で借金や保証債務が膨らんで、どうにも返済ができなくなってしまった人を救済するための制度です。保証債務(借金の保証人になっている分)も、借金になります。裁判所に破産申立後、裁判所が財産や生活の状況、借金形成の理由、返済できない理由等を精査し、支払い不能と判断されると破産手続開始決定(昔の破産宣告)が出され、その後、破産廃止決定後・免責許可の決定が出ると、(税金を除く)借金が免除されます。借金返済に追われる生活から解放されて、精神的にも安心できます。そして、借金返済に充てていた収入を生活費に充てれば、生活を立て直すことができます。収入と支出のバランスを整え、新たな生活をスタートさせましょう。
事案によっては、裁判所で裁判官に直接、今に至る経緯や事情等を聞かれることもあります。その場合、弁護士も同行しますのでご安心ください。
債務者が自己破産すると、債権者は保証人に請求を始めることになります。保証人とも話し合っておいたほうがいいでしょう。状況によっては保証人も破産したほうがいい場合もあります。
また、99万円以内の財産は自由財産として保持しておくことが認められることがあります。99万円を超える財産は処分して、債権者に配当されることになります(管財事件)。動産不動産等財産が一定程度ある場合は、財産を処分し換金して債権者に配当するため、破産管財事件となります。管財事件となった場合は、裁判所に選任された破産管財人の弁護士とも打合せをしながら、手続きが進んでいきます。管財事件では債権者集会が開かれます。債権者集会には弁護士と一緒に出席します。
破産の場合、借金がなくなるのですが以下の点に注意してください。
●滞納の税金は免責されない
●破産手続が開始してから免責許可決定が確定するまで、弁護士、税理士等
の士業、宅地建物取引主任者、保険外交員、警備員、成年後見人になること
等が法律上制限される
●金融業者だけでなく、親戚や友人から借りている場合も全て債権者として扱
わなければならない、一部の人だけ返済することはできない
●官報に氏名が掲載される(戸籍や住民票などに記載されることはない)
●借金形成の原因がギャンブル等の遊行費または著しい浪費の場合免責不許
可事由になることがある
●信用情報機関にその事実が登録されるので、一定期間(5年から7年程度)は
新たな借金やクレジットカード作成は制限される
●任意整理
任意整理では、弁護士が債権者と交渉し、金額や返済方法を協議します。
現在の借金の残額を、取引開始時にさかのぼって利息制限法の金利(15~20%)で再計算(引き直し計算)し明らかにします。
長年返済を続けている場合は、引き直し計算した時点で、借金の残額が0円になることや、過払い金が発生することもあります。そして債権者と交渉(将来利息のカット等)し決定した金額を、分割で返済する、または少額の場合一括で返済するなどの内容で和解書を交わし、返済していきます。この方法では、次のようなメリット・デメリットがあります。
メリット
●毎月の返済額を小さくできる
●長く返済している場合は再計算後残額がない、または過払い金が
発生することもある
●整理する借金を選べる
会社からの借金や住宅ローンなどを除外できます
●極力、保証人に迷惑をかけない方法も選択可能
ただし、連帯保証人に請求をするかどうかは、基本的には債権者が自由に決めてよいことなので、債権者の信用を完全に失っているような場合は、絶対に連帯保証人に請求が行かないという保障はありません。また、任意整理の和解後、返済が滞ったときは、保証人に請求が行くことになるでしょう。
●持ち家などの財産が残せる
ただし、抵当権の設定や、ローン返済状況による
●特定の職業につけなくなること(資格制限)が一切ない
デメリット
●債権者が同意しなければ整理できない
●信用情報機関にその事実が登録されるので、一定期間(5年から7年程度)は新たな借金やクレジットカード作成は制限される
和解成立後は和解書に沿って、完済まで(通常3年から5年)返済を続けていきます(和解成立後弁護士の任務は終了します)。
●民事再生(小規模個人再生・給与所得者再生)
個人再生を利用するための要件
●計画どおりに返済するための継続的に収入を得られる見込があること
●住宅ローン以外の借金の総額が5,000万円以下であること。
個人再生手続きでは、裁判所に認可された再生計画に従って、一定の金額を3年(特別な事情がある場合は3年~5年)で分割返済します。そして、計画通り返済が終了すれば、住宅ローン以外の残りの借金が免除されます。
最低弁済額は、
①100万円
②債務の5分の1相当額
③財産の清算価値
の3つの金額の中で一番高い金額と定められています。財産の清算価値が高い場合は、弁済総額が高額になることがあります。
民事再生の手続には,再生計画が認可される基準の違いから,
●小規模個人再生(自営業者もサラリーマンも利用できる手続き)
・・・・・・詳しくはこちらから
●給与所得者等再生(サラリーマンに適した手続き)
・・・・・・詳しくはこちらから
の2種類がありますが、その効果は同一です。しかし、細かな定めにそれぞれ違いがあり、どちらを選択したほうが有利かは事案によって異なります。その他、再生手続きには、様々な要件の定めがあり、自己破産に比べて裁判所の審査も厳格です。当事務所では、数多くの個人再生申立の実績があります。まずは、ご相談ください。
再生手続きのメリット・デメリットについては、以下にまとめまたとおりです。
メリット
●住宅ローン特則を利用すれば、マイホームを手放さなくて済む場合がある
※住宅ローンは減額されずに残る
※ただし、住宅ローン以外の抵当権が設定されていない等の条件あり
●高額の財産を維持できる
※抵当権が設定されている、ローン返済中であるものは除く
●大幅に減額される(5分の1になることもある)
●減額後の借金を完済すれば,住宅ローン以外の借金については法律上返済する義務が免除される
●資格制限がない(弁護士、税理士等 の士業、宅地建物取引主任者、保険
外交員、警備員、成年後見人などに一定期間就けなくなることがない)
●過払い金の返還請求もあわせて行うことが可能
●借金の原因が著しい浪費等であって自己破産だと免責不許可事由が問題となるような場合も利用できる
デメリット
●不安定な収入状況だと利用できない
●整理する借金が選べないこと
(会社から借金があった場合、会社に知られるなど)
●免除された借金の残額が保証人に対して請求がなされること
●債務額の5分の1が100万円より少ない場合は100万円までしか減額されない
●不動産の査定額から住宅ローンの残債務を差し引いた金額が、プラスである場合、このプラス分が清算価値に加算されるので、弁済総額が高額になることがある
●信用情報機関にその事実が登録されるので、一定期間(5年から7年程度)は新たな借金やクレジットカード作成は制限される
●官報に掲載される(戸籍や住民票には記載されない)。
小規模個人再生
原則として3年間で,再生計画どおり返済します。再生計画(返済計画)が裁判所に認められるためには、債権者数の2分の1以上の反対がなく,かつ反対した債権者の債権額の合計が全債権額の2分の1を超えていないことが必要です(住宅ローンは除く)過去7年以内に自己破産の免責を受けている場合でも申立てすることができます。
給与所得者等再生
給与所得者等再生は,小規模個人再生を利用できる人のうち,給与等の安定した収入があり,収入の変動幅が小さい人が利用できる手続です。
給与所得者等再生の場合には、最低弁済額、清算価値のほかに,可処分所得(収入から所得税等を控除し,さらに政令で定められた生活費を差し引いた金額)の2年分のうち,いずれか多い方の金額を最低限返済する必要があります。そのため,小規模個人再生の場合よりも返済額が高額になることがあります。また、過去7年以内に自己破産の免責を受けている場合は利用できません。
しかし、債権者数の2分の1以上および債権額の2分の1を超える反対がないこと,という要件がないというメリットがあります。
●過払い金返還請求
過払い金返還請求って何?
過払い金返還請求とは、返済しすぎたお金を返してもらうことです。
長年、高い利息(利息制限法で定められた以上の利息)で返済を続けてきた場合、利息制限法での利率で計算し直すと返済しすぎていることがあります。その場合は、、払いすぎたお金を取り戻すことが出来ます。現在、返済中の方も、既に完済している方も、過払い金を取り戻せる可能性があります。
弁護士が貸金業者と交渉を行うことで解決する場合もあれば、訴訟手続になる場合もあります。ここ数年、過払い金返還請求がとても多かったこともあり、消費者金融やクレジット会社各社ともかなり多額の過払い金返還に応じてきました。その結果、消費者金融業者の中には負担に耐えられず、破たんする金融業者も出てきました。従って、過払い金の請求は、早いほうがいいと言えます。
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