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衛生対策
vol.4 ~職場におけるハラスメント~ セクハラ・パワハラと対策
先日、セクハラを理由とした会社内の懲戒処分について、最高裁が、高裁の決定を覆して、懲戒処分を妥当とする判決を下したと新聞やテレビで報道されていました。
このような判決が積み重なることによって、男性社員だけでなく、その雇用主である各企業も、今さら言うまでもないことではありますが、セクハラやパワハラが許されないものであることや、それを当事者の問題として放置することも企業として許されないことなどが、より一層周知されるようになることを期待しています。
ところで、少し話はそれますが、現在放映中のテレビドラマに、セクハラ、パワハラ、モラハラが満載のものがあります。フジテレビ系列で放映中の「問題のあるレストラン」というのがそれですが、僅か1時間のドラマの中に、よくこれだけの量のセクハラからパワハラ、モラハラ事例を詰め込めたものだと感心しつつ、巷にあふれているハラスメント事例を、ドラマの中の人間関係に凝縮すると、ここまですごい、というよりも、大変な事態になるのだと痛感しています。
というのは、一つの会社や一人の人間が普段置かれている環境では、同時進行でこれだけのハラスメントに遭遇するというのはあまりないのではないかと思う反面、実は社会にあふれているにもかかわらず、当事者がそれほど意識していないハラスメントを、ドラマという枠の中に凝縮していくことで、かえってその問題性が浮き彫りになっていると思うからです。言い換えれば、今の世間は、会社に限らず家庭でも、ハラスメントだらけなのに、みんながあまり意識していないからどうにか成り立っているだけではないかという気さえしてくるのです。
上記のドラマは、これから佳境を迎えるようであり、ある会社のセクハラ、パワハラ、モラハラについて法廷闘争になるのかもしれません。
仮に、こうしたハラスメントを、訴訟で解決しようとするとき、最も重要となるのが「証拠」であることは論を待ちません。なぜなら、会社にしても、家庭内にしても、そこにはいわば内部の人間しかいないため、何らかの証拠がなければ、「言った」「言わない」、あるいは、「された」「していない」という水掛け論になってしまいかねないからです。
上記のドラマでは、幸いにして、被害者が詳細な日記を綴っていたようです。しかも、それは、裁判のために作成したというよりも、日常の出来事を、例えば、その日の夕飯やそのレシピなどを淡々と記載しながら、そのときの(その日受けたハラスメントで動揺する)心情を素直に綴っているため、とても信用性が高いものと評価される可能性があります。
いずれにしても、このようなハラスメントを解決するためには、最終的に、裁判や調停を利用するしかないことも多々あることも事実なのですが、セクハラ事件やパワハラ事件だけでなく、家庭内における言葉による暴力(これもモラハラといえることが実は多々あります。)なども、いかに証拠を収集するかが大きな鍵となっています。
もし、自分が、あるいは自分に近しい人が、こうしたハラスメントで困っているのに気がついたら、訴訟などをするかどうかなどの結論は出ていなくても、なるべく早い段階で弁護士に相談して、今後の対策と万一のための証拠収集の方法を考えた方がいいと思います。もちろん、身近に弁護士がいない、知り合いの弁護士などいないというのが通常だと思いますから、いろんな弁護士のホームページもありますが、とりあえず弁護士会の法律相談センターや自治体などが運営している無料法律相談などの機会を積極的に利用してもらえればと思います。 (2015.3.2)